エミリア=ロマーニャ

ポー川の南に広がる平野と丘
イタリア北部の州で、西のエミリア(Emilia)と東のロマーニャ(Romagna)という二つの歴史的な地域からなります。州都はボローニャ(Bologna)です。アペニン山脈(Appennino)のアドリア海側の斜面と、その麓からポー川(Po)の南岸まで続く平野が州の土地で、平野は東でアドリア海に行き着きます。夏は暑く乾き、冬は長く寒く、秋から春にかけては平野に霧がよく出ます。
ぶどう畑は平野にも丘にもあります。モデナ(Modena)の県は、決まりの文書によれば粘土質の重い土で、昔から水路を掘って水を抜き、畑を保ってきました。ロマーニャでは、アペニン山脈の麓からエミリア街道(Via Emilia)までのゆるやかな土地と、その上の丘に畑が広がります。丘には、地中海が大西洋から切り離されていた時代にできた石膏の岩の帯「ヴェーナ・デル・ジェッソ(Vena del gesso)」が見えています。
泡の立つ赤ワインと、ロマーニャのサンジョヴェーゼ
エミリアIGTの決まりの文書が、この土地でいちばん古いぶどうとしているのがランブルスコ(Lambrusco)です。一つの品種ではなく、主に黒ぶどうの一群の呼び名で、ランブルスコ・ディ・ソルバーラ(Lambrusco di Sorbara)の決まりの文書は、モデナの土地で野生のぶどうから栽培化されたものだと書いています。ソルバーラの名で出せるのは、弱い泡の立つフリッツァンテ(frizzante)か、泡の強いスプマンテ(spumante)だけです。ロマーニャの主な黒ぶどうはサンジョヴェーゼ(Sangiovese)です。ロマーニャの決まりの文書によれば、ほかの品種と混ぜることの多かったトスカーナと違い、ここでは単独で醸造してきました。同じ文書は、ロマーニャが「飲み物を頼むと、水ではなくワインが出てくるところ」と言い表されてきた、とも紹介しています。
産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。農業省の2026年3月の一覧では、この州のDOCGは2つ、DOCは19です。DOCGは、白ぶどうのアルバーナ(Albana)で辛口から甘口までをつくるロマーニャ・アルバーナ(Romagna Albana)と、主にグレケット・ジェンティーレ(Grechetto gentile)という白ぶどうでつくるコッリ・ボロニェージ・ピニョレット(Colli Bolognesi Pignoletto)です。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、2026年5月の省の一覧で9つです。
寒暖の差の大きい平野と、人が水から拓いた畑
Treccaniの百科事典によれば、気候は大陸に近い型で、1年のうちの寒暖の差が大きく、冬には雪がよく降ります。雨は山で年に1,000ミリを超え、フェラーラ(Ferrara)とラヴェンナ(Ravenna)のあいだの平野では500ミリほどです。
平野の畑の多くは、ローマ時代の土地の区画割りや、中世に始まってポー川の岸辺とアドリア海の海岸沿いに広がった干拓によって、あふれる水や沼地から人が勝ち取ってきた土地です。州都ボローニャの街路を覆う柱廊(portico)は、代表的な12か所が「ボローニャの柱廊群」として2021年に世界遺産になりました。
