Vino Storia

ワインのお話

アブルッツォ

雪の残る山のふもとに草原が広がり、小さな池のほとりで馬の群れが草を食べている。黄色い小さな花が咲き、空には白い雲がかかる
5月のカンポ・インペラトーレ。雪の残る山と、草をはむ馬A Passerini / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)
ラクイラアドリア海1 カザウリア12 コッリーネ・テラマーネ・モンテプルチャーノ・ダブルッツォ23 テッレ・トッレージ3
名前になっている村 地域の名前の呼称。生産規定が挙げる村をまとめた範囲のなかほど 点が重なるところは少しずらし、元の位置へ線を引いています。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
  1. カザウリア Casauria
  2. コッリーネ・テラマーネ・モンテプルチャーノ・ダブルッツォ Colline Teramane Montepulciano d'Abruzzo
  3. テッレ・トッレージ Terre Tollesi

高い山から、海へ下りる丘

イタリア半島の中ほどでアドリア海(Adriatico)に面した州で、州都はラクイラ(L’Aquila)です。西側は山がちで、アペニン山脈(Appennino)でいちばん高いグラン・サッソ(Gran Sasso)やマイエッラ(Maiella)の山々がそびえ、東側は川に刻まれた丘が海へ向かって下りていきます。

ぶどう畑はこの海沿いの丘と山すその帯に集まり、トロント川(Tronto)からトリーニョ川(Trigno)まで、長さ120キロあまりにわたってつづきます。内陸では、スルモーナ(Sulmona)のあるペリーニャ谷(Valle Peligna)などの盆地も産地に入ります。決まりの文書は、東のアドリア海と西のグラン・サッソ、マイエッラの山々が昼と夜の気温差を大きくすると書いています。夏の7月と8月は暑く乾き、冬にはバルカン半島からの冷たい空気の影響を受けます。畑では、棚仕立ての「ペルゴラ・アブルッツェーゼ(pergola abruzzese)」が広く使われてきました。

州の名を名乗る赤ワインとロゼワイン

黒ぶどうのモンテプルチャーノ(Montepulciano)は、決まりの文書によると、はじめはペリーニャ谷に限られていましたが、19世紀の終わりに海沿いへ広がり、第二次世界大戦のあとに州でいちばん多く植えられる黒ぶどうになりました。この品種を85パーセント以上使う赤ワインがモンテプルチャーノ・ダブルッツォ(Montepulciano d’Abruzzo)です。同じぶどうからは、さくらんぼのような色のロゼワイン、チェラズオーロ・ダブルッツォ(Cerasuolo d’Abruzzo)もつくられます。白ワインではトレッビアーノ・ダブルッツォ(Trebbiano d’Abruzzo)が知られています。

産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。農業省の2026年3月の一覧では、アブルッツォ州のDOCGは3つ、DOCは7つです。DOCGのうちコッリーネ・テラマーネとカザウリアは、もとはモンテプルチャーノ・ダブルッツォの中の地区でした。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、2026年5月の省の一覧では2つです。原産地呼称の保護協会連合会(Federdoc)の2025年3月時点の冊子では9つで、時点の違う二つの資料で数が大きく違います。

雪の多い山と、手仕事の残る町

百科事典のトレッカーニによれば、気候は高さによって大きく変わります。山の上は気候が厳しく、雪がよく降ります。高原や盆地は大陸的で雨が少なく、丘と海沿いは地中海性ですが、ティレニア海の側より一年の寒暖の差が大きくなります。雨がいちばん多いのは秋です。州の土地のおよそ3分の1は保護区です。

かつて三つの地方に分かれていた名残で、いまも複数形の「アブルッツィ(Abruzzi)」と呼ばれることがあります。州都ラクイラは1254年に築かれた町です。カステッリ(Castelli)の陶器、スカンノ(Scanno)とペスココスタンツォ(Pescocostanzo)のレース、グアルディアグレーレ(Guardiagrele)の鍛鉄といった手仕事について、トレッカーニは、衰えながらもカステッリなどでは観光客の求めで持ち直していると書いています。